早朝に起きて、2階書斎で「サオ屋の日記」の校正をしている。修正箇所を赤ペンで書き込んだりしているとすぐに時間が過ぎ、時計を見ると10時近い。慌てて犬を連れて散歩にゆく。 犬はずっと待っているので可哀想だ。
階下のレストランに降りて行くと、シッポをふってよろこぶ。車に乗せ誰もいないダムの駐車場を散歩する。前はリードなしでも良かったが、白内障で冬に完全に目がみえなくなり、10mのリードを付け僕が中心に立つと、マリオは僕を中心にして走り続ける。これなら、どこにもぶつからないから盲目の犬も安心して走れる。
そのあと、ボクが散歩をはじめると、リードに引かれて犬も散歩する。散歩は車のほとんど来ない山道とか、アスファルトでなるべく巾の広い農道でしている。(サンルには沢山ある)巾があると犬は左右にジグザグで進めるので、運動量がふえて良い。
そういう所だからシカもよく見かけるが、彼らはたいてい立ってジッと見ている。逃げもせず草を食べている。ボクにも犬にも殺意がないからだ。昔はシカ撃ちをやったので、シカの習慣は自然におぼえた。撃とうとすると逃げる。
カラスは木の下を銃をもったボクが歩いても逃げなかった。それは殺意がない時だ。 ある日、農家の人に頼まれてカラスを撃ちに行ったが、一羽もとれなかった。それはぼくの殺意を感じて、近づく前に逃げてしまうからだった。カラスは知れば知るほど利口な鳥だと知った。
ポプラ通信
ポプラ通信 2025.4.30 モレーナ発 栗岩英彦
